映画「靖国」:高知市内で初上映 金属探知器で厳重警備−−大きな混乱なく /高知【2008.07.22】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080722-00000240-mailo-l39

 ◇観衆1104人
 靖国神社を舞台にしたドキュメンタリー映画靖国 YASUKUNI」(李纓監督)が21日、高知市内で初めて上映された。会場となった県立県民文化ホール(高知市本町4)や県庁へ「上映したら会場を爆破する」との脅迫電話が事前にあったことから、警察官ら100人以上が警備に当たったが、大きな混乱はなかった。【近藤諭】
 この日は午前10時から計4回上映され、中高年を中心に計1104人が鑑賞した。会場入り口では主催者の「映画『靖国』を高知で見る会」(代表、山崎秀一・県平和運動センター議長)のメンバーら約50人が入場者の手荷物を開いて確認したり、金属探知機で危険物を身につけていないかをチェックしたりした。
 建物内や周辺では県警爆発物処理班など約70人の警察官が警戒に当たった。20日夜には館内に爆発物が設置されていないことを確認し、21日朝まで周辺のパトロールを強化。上映終了ごとに観客を退場させ、爆発物がないかを確認して万全の態勢で臨んだ。
 今回の上映を巡っては今月9日に、同ホールと県庁に男の声で「上映したら必ず天罰が下ります。会場を爆破します」と脅迫電話があり、その後も爆破をほのめかすような電話が同ホールに1件あった。山崎代表は「言論の自由を守ろうという県民の意識の高さを感じた。映画を見た上で、文句がある場合は議論したい。無事に上映できて良かった」と話している。
 「靖国」を巡っては、3月以降、右翼団体などの妨害を恐れて上映の中止が相次いだ。現在は全国で順次公開され、県内でも先月30日に四万十市自主上映された。しかし、映画の中心的な登場人物で県内在住の刀匠(90)が出演場面のカットを求めていることから、県内の映画館での公開予定はない。
 ◆観客の反応◆
 観客の意見はさまざまだった。高知市横浜西町、自営業、森沢伸次さん(53)は「靖国神社を支持する人の中には不快に感じる部分もあったかもしれないが、全体を通して見ると政治的に偏っているようには感じなかった。爆破予告までして上映を中止させることはないと思う」と話していた。
 同市上町4、大学職員、松本孝子さん(58)は「映画に刀匠は必要だが、出たくないと言っている人を無理に出演させるのもかわいそうな気がする」と刀匠への配慮を見せた。また、日高村下分、団体職員、前田拓蔵さん(61)は「映画を見ても監督が何を訴えたいのか漠然としていて分からなかった」と厳しい意見だった。<<