原爆症認定訴訟:国が上告断念へ 「全部解決まで闘う」原告団が会見 /宮城【2008.06.07】(毎日新聞)

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◇「国、言葉尻で逃げている」
 ゆっくりする暇はない――。原爆症認定集団訴訟控訴審で国に勝訴した仙台訴訟の原告団は6日、政府が上告しない方向で検討を始めたことを受け、仙台市内で会見。全国の原告全員の一括認定や4月に導入された認定新基準の見直し、これまでの認定行政に対する謝罪などを求め、引き続き政府に働きかけていく姿勢を示した。
 5月28日の仙台高裁判決は、原告の波多野明美さん(69)=仙台市太白区=の胃がん治療の後遺症を原爆症と認めた。新沼〓雄(みつお)さん(84)=同市泉区=についても、放射線に起因するぼうこうがんの再発防止のため定期検査を受けているとして、原爆症と認めた。
 波多野さんは5日、弁護団や支援者とともに厚生労働省西川京子厚労相と対面。「原爆で亡くなった被爆者のために闘ってきた(提訴からの)5年間を思い浮かべました」と判決直後の感想を伝え、60余年にわたり、被爆者を切り捨ててきたとして、国に謝罪を求めたという。
 同日、面談した舛添要一厚労相は「早い時期に朗報を届けたい」と述べており、原告らに上告断念の期待を抱かせていた。
 この日の会見で、波多野さんは「全部解決するまで喜ぶことはできない。最後まで闘っていきたい。今のところゆっくりする暇はない」。新沼さんも「原告全員を見てもらいたい。国はなんだか言葉尻で逃げている」と認定訴訟の早期解決を訴えた。
 また、同席した県原爆被害者の会(はぎの会)の早坂博会長は、「唯一の被爆国として政府は非核三原則を世界に訴えてほしい。被爆者に国家補償する援護法を作ってもらいたい。この二つの要求を達成するまで闘う」と、認定訴訟後も被爆者団体の運動を継続する構えを見せた。【比嘉洋】