平岡ダムの歴史を残す会 訪中し実態聞き取りへ【2008.03.27】(信濃毎日新聞)

http://www.shinmai.co.jp/news/20080327/KT080326GHI090001000022.htm

 飯田下伊那地方の有志でつくる「平岡ダムの歴史を残す会」が27日から5日間、初めて中国を訪問し、戦時中に下伊那郡天龍村の同ダム建設で強制労働に従事した人たちの証言を聞く。当時を知る関係者が少なくなる中、悲惨な戦争の記録を残そうと企画した。
 同会は2000年に発足し、これまで天龍村民や強制労働に従事した韓国人から証言を得たほか、村内に残る建設工事跡などを巡る学習会も重ねてきた。だが、調査で分かった労働実態はどれも断片的という。今回は、旧日本軍が松本市で進めた地下・半地下工場について強制労働の実態を調べている「松本強制労働調査団」の協力で、訪中が実現した。
 同調査団が派遣する信大や松本大の学生らとともに、残す会からは事務局の北沢健二さん(49)=飯田市=らメンバー2人が参加する。中国・河北省を訪れ、ダム建設で強制労働に従事した数人から聞き取りをする予定だ。帰国後には報告会を開き、報告集も出す。
 当時の状況を思い出してもらおうと、北沢さんはダム周辺の風景写真を持参する。「加害国としての立場での訪問は気が重いが、できる限り多くの方々から話を聞き、後世に伝えられる記録を残したい」と話している。