原爆症認定:新基準決定 国は「機械的で冷たい」 原告らに徒労感 /長崎【2008.03.18】(毎日新聞)

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 ◇結審から10カ月「時間がない」
 「本当に救済につながるのか」――。原爆症認定の新基準が決まった17日、長崎の被爆者からも疑問が相次いだ。この日は原爆症認定を巡る長崎訴訟の2次原告の口頭弁論が長崎地裁であったが、原告らは全面解決を目指して訴訟を継続する決意を固めていた。
 この日の弁論では、弁護団長の中村尚達弁護士が、昨年7月に結審した1次訴訟の判決がいまだに期日も決まっていない状況に対し「出来れば5月中に判決を頂けるよう希望します」と述べた。田川直之裁判長は「原告も多くの方が亡くなられているのに申し訳ない。努力はします」と答えるにとどまった。
 閉廷後、中村弁護士は原告らに「5月以降は札幌地裁、仙台高裁、大阪高裁で判決が予定されている。長崎でも裁判所をプッシュして、全国的な運動の盛り上げをつくりたい」と話した。だが支援者から「結審から10カ月もたつのに……。原告には時間がない」と焦りの声も聞こえた。
 原告団長の森内実さん(71)は、長崎原告を代表して今月5日に厚生労働省との協議に臨んだ際、新基準の問題点をただし、16日には与党プロジェクトチームとの懇談会にも出席した。「何の進展もなかった。厚労省は生身の人間を相手にする役所なのに、機械的で冷たいの一言。懇談会もパフォーマンスだったのではないか」と徒労感をにじませた。
 原告の一人、下平作江さん(73)は新基準について「私たちの意見がまったく受け止められなかった。(がん、白血病など)5つの疾病以外の原告が切り捨てられると、結局は裁判に頼らなければならなくなる」と疲労の色が濃かった。【錦織祐一】
〔長崎版〕