浄土宗、戦争責任を検証 戦後63年、加担を反省へ【2008.03.08】(京都新聞)

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 知恩院などを包括する浄土宗(京都市東山区)は、宗派として初めて、戦争に協力してきた近現代史の検証作業を本格化する。検証を進めたうえで、あらためて戦争加担をわびる方針。終戦から63年。ようやく戦争責任を自らに問う。
 開会中の浄土宗の僧侶議会「宗議会」で、執行部に当たる内局が表明した。浄土宗は戦前、戦闘機を陸軍に献納したり、中国、朝鮮で戦意高揚を図る巡教を実施するなど「戦時教学」の名のもとに戦争に協力してきた歴史を持つ。
 浄土宗が「二十一世紀の指針」として掲げるキーワード「共生(ともいき)」も、戦時教学で戦意高揚に利用された負の歴史がある。共生は、浄土宗の碩学(せきがく)、故椎尾辨匡(しいおべんきょう)氏(元衆議院議員、元増上寺法主)が、大正時代に仏教の中心思想「縁起(えんぎ)」を読み替えて提唱した言葉だが、戦時下においては、日本の大陸進出を正当化するのに使われたとの批判もある。
 戦争協力は他宗派でもあったが、浄土宗では、戦後に宗派が分裂するなどの理由で検証作業が進まなかったという。稲岡康純宗務総長(75)は「過去の一時期、共生が本来と違う意味で流用されたのは事実だ。近現代史の中で検証され、理解が進むように宗派として考えたい」と話す。
 伝統仏教教団では、真宗大谷派が初めて1987年に宗派の戦争責任を認めた。浄土真宗本願寺派曹洞宗臨済宗妙心寺派などでも戦争協力に反省や謝罪を表明している。キリスト教団では、67年に日本基督教団が「戦争責任告白」を発表した。