<健康管理手当訴訟>在韓被爆者側が逆転勝訴 最高裁【2008.02.18】(毎日新聞)

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 被爆者援護法に基づく健康管理手当の支給を帰国後に打ち切られた在韓被爆者の崔季チョルさん(04年死亡。遺族が訴訟を継承)が未払い手当約83万円の支給を長崎市に求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(泉徳治裁判長)は18日、時効を理由に請求を棄却した2審・福岡高裁判決(07年1月)を破棄し、全額支払いを命じた。小法廷は判決で「支給を拒んできた行政側が時効を主張するのは信義則に反する」と指摘。崔さん側の逆転勝訴が確定した。
 「自治体に金銭給付を求める権利は5年で消滅する」という地方自治法の時効規定が適用されるかどうかが争点となった。判決は、在ブラジル日本人被爆者が広島県を訴えた同種訴訟の最高裁判決(07年2月)を引用して「行政側の時効主張は原則許されない」と指摘。「時効を認めてもよい特段の事情もなく、市には支給義務がある」と結論付けた。
 崔さんは長崎に原爆が投下された翌日の1945年8月10日、爆心地近くに入り被爆。80年5月に関節炎手術のため長崎市を訪れ、健康管理手当を受給したが同6月分の手当を受けただけで、帰国に伴い同7月分以降の支給が打ち切られた。
 崔さん側は04年、80年7月〜04年1月分の未払い手当など約960万円の支払いを求めて提訴。1審・長崎地裁は、当時の支給認定期間(3年間)分に当たる約83万円の支払いを市に命じたが、2審は未払いを認めつつ時効を理由に請求を棄却した。
 崔さん側は請求額を約83万円に変更して上告。市は、ブラジル訴訟の最高裁判決を受け07年10月、遅延損害金も加えた約300万円を既に遺族に支払っていた。【高倉友彰】
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