<被爆手帳>海外申請の却下は違法 国に賠償命令 広島地裁【2008.07.31】(毎日新聞)

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 海外からの申請を理由に被爆者健康手帳の交付申請を却下したのは違法だとして、ブラジル在住被爆者2人の遺族が国と広島県に却下処分取り消しや慰謝料など計330万円の支払いを求めた訴訟の判決が31日、広島地裁であった。能勢顕男裁判長は「来日困難な原告への却下処分は裁量権乱用で違法」として処分を取り消し、国に慰謝料など計165万円の支払いを命じた。
 在外被爆者の海外からの手帳交付申請の却下処分取り消しが認められたのは初めて。6月に被爆者援護法が改正され、海外からの申請は認められるようになっている。
 原告は、広島市被爆して07年3月に亡くなった女性(当時91歳)と、長崎市被爆して06年4月に死亡した男性(同96歳)の両遺族。被爆した2人は戦後、ブラジルに移住。手帳交付の要件を備えながら来日困難な人に交付される被爆確認証を取得し06年3月、代理人を通じ広島県に手帳交付を申請した。国は当時、海外からの申請を認めておらず、県は申請を却下した。
 判決は「(海外の被爆者に各種手当を支給しない)国の通達は国家賠償法上の違法行為で、精神的損害の賠償義務を負う」と指摘した。【矢追健介】