<原爆症訴訟>「被爆者の願い裏切った」継続で国に抗議声明【2008.06.10】(毎日新聞)

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 原爆症認定訴訟の原告・弁護団は10日、国が仙台、大阪両高裁判決の上告を断念する一方で、それ以外の訴訟は継続する方針を示したことに対し、「被爆者の願いを裏切った」とする抗議声明を発表した。国が新たな解決策を示さない限り問題が長期化するのは必至で、原告側は福田康夫首相の政治決断を求めて厚生労働省前で座り込みを始めた。
 厚労省で会見した原告・弁護団は、国の上告断念を「当然」と評価した。一方、認定基準の再改定と原告305人の一括救済という解決要求がことごとく拒否されたことに「追加提訴も含めれば裁判は永遠に終わらず、被爆者が死に絶えるのを待つような残酷な判断だ」と強く非難した。
 東京訴訟原告の西本治子さん(70)は、舛添要一厚労相が5日に原告団と面会した際に「被爆者の利益になる方策を検討したい」と述べたことに触れ、「うそつきだ」と怒りをあらわにした。
 仙台訴訟の原告の新沼※雄さん(84)=仙台市泉区=と弁護団仙台市内で会見。新沼さんは「原告全員を平等に解決してもらわないと意味がない」と厳しい表情。杉山茂雅弁護士は「上告断念のみでは訴訟が続き、不十分な認定基準が再改定されることもない。解決とは言えない」と語気を強めた。
 原告側は両高裁判決で損害賠償の請求を退けられており、この点についての上告も「選択肢に入れながら、期限(仙台11日、大阪13日)までに結論を出す」としている。【清水健二、比嘉洋】
 ※ 式の「エ」が「三」