映画「靖国」:「見られてこそ完成する」 上映の意図、館主・蔵本さんに聞く /広島【2008.05.24】(毎日新聞)
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◇作る・映す・見る勇気−−きょうから、シネツイン2で
靖国神社(東京都千代田区)を舞台にしたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」が、中区新天地1のシネツイン2で、さらに同区大手町5の姉妹館のサロンシネマで、あさま山荘事件を起こした連合赤軍を描いた映画「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」が、24日から上映される。共に上映前から物議を醸した作品。「映画は作られて、映画館で上映されて、そして観客に見ていただいて初めて完成する」と話す両映画館の館主、蔵本順子さん(57)に上映の意図を聞いた。【矢追健介】
「靖国」は、「反日映画」などと主張した国会議員の行動や右翼団体の抗議などで上映中止が相次ぎ、話題になった。そんな中、シネツインは上映を決定した。
「『靖国』は本当は8月上映予定だったが、東京の映画館が次々と上映中止にするのをみて、5月に前倒しにした。作られた映画は、1人でも見たいという人がいればかけなければいけない。何かあればすぐに中止にするのは、映画館の使命を放棄することになる」と蔵本さん。
決定後、全国からはがきや電話、メールなどが寄せられた。反対意見は1割程度で、残りは応援だったという。「四国の元右翼の人から、『上映決定は素晴らしい。もし妨害が来たら言ってくれ』という励ましがきて、すごくうれしかった」
「実録・連合赤軍」は連合赤軍の側から描いた。「作る勇気、上映する勇気、見る勇気。作るのも自由、上映するのも自由、見るのも自由、この2作品にはそういう共通点がある。映画の神様が、この2作品を同時に上映できるように導いてくれたのかも」
両館は、洋邦問わず、問題作からB級ホラーまで全ジャンルを上映している。蔵本さんは「そんな映画館は広島ではうちだけでしょう。うちのコンセプトは、上映するのが使命、それだけです。そのコンセプトに合った重要な2作品です。ぜひ見に来て下さい」と呼びかけている。