佐世保の平和祈念館へ 持ち主不明、硫黄島の遺留品 旧日本兵の日章旗【2008.03.08】(西日本新聞)

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 太平洋戦争末期の激戦地・硫黄島(東京)で旧日本兵が残したとみられる日章旗が、佐世保市吉井町の平和祈念館「天望庵」(藤原辰雄館長)に寄贈された。持ち帰った元米兵が日本側に返してから3年。旗に書かれた「佐世保」の文字を手掛かりに持ち主を探したが、見つからないまま、ゆかりの地に戻ってきた。藤原館長は「持ち主が分かるまで、生きた教材として平和を伝えていきたい」と話している。
 日章旗は縦60センチ、横90センチ。毛筆で「佐世保」と地名が書かれているほか、「硫黄島にて波里00(判読できず)」や、米軍の上陸日「昭和二十年二月拾九日」と記されている。
 2004年に、戦争遺留品を遺族の手に返す活動に取り組んでいる佐賀県みやき町の非営利活動法人「戦没者を慰霊し平和を守る会」が元米兵の男性から預かった。男性は硫黄島で戦闘に参加した際、島内で見つけた旗を米国に持ち帰り、自宅で保管。インターネット上で同会の活動を知り、「持ち主を探して返してほしい」と託したという。
 同会は厚生労働省に調査を依頼するなど所有者確認を進めたが難航し、旗の傷みが激しくなってきたために断念。「佐世保で展示し、多くの人が見れば新たな手掛かりが得られるかもしれない」として寄贈を申し入れた。
 天望庵を訪れた守る会の塩川正隆副理事長(63)から旗を手渡された藤原館長は「大変貴重な品。遺書のつもりだったのだろう」と感慨深げに見入っていた。
 この日章旗は常設展示され、藤原館長は「心当たりのある人は連絡してほしい」と呼び掛けている。天望庵=0956(64)3534。