<日本遺族会>古賀誠会長、分祀論議の加速狙い人事で攻勢【2008.02.22】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080222-00000014-mai-pol

 日本遺族会古賀誠会長(自民党選対委員長)が、靖国神社に合祀(ごうし)されたA級戦犯分祀論議を同会内で加速させるための環境作りに乗り出した。28日の全国理事・評議員会に向けて先月、副会長人事で分祀容認派の起用を画策。尾辻秀久自民党参院議員会長ら慎重派の抵抗で今回は見送ったが、分祀論議を進める構えは崩していない。高齢化で組織の先細りが懸念される遺族会には、古賀氏の政治力が不可欠。会長に留任する古賀氏は、次の機会をうかがっている。
 古賀氏が昨年5月に遺族会で始めた靖国神社に関する勉強会は、メンバー14人のうち容認派が過半数を占めた。だが、副会長の尾辻氏、森田次夫前自民党参院議員、増矢稔徳島県遺族会長の3氏は、いずれも分祀に慎重だ。勉強会の議長役は増矢氏で、分祀論議は足踏みしている。
 古賀氏は正副会長の改選を機に、森田、増矢両副会長を退任させ、後任に分祀容認派の常務理事と中立派の水落敏栄自民党参院議員の起用を探った。
 「古賀会長の意向を聞いて副会長を決めてはどうか」。1月31日の役員選考委員会では、古賀氏に近い選考委員長が提案したが、正副委員長を除く8人が「会長一任では選考委員会の権威がなくなる」などと口々に反対。前夜、慎重派が委員たちの宿泊先に「夜討ち」を掛け、「遺族会全体で分祀という声は大きくない」などと説得したのだった。
 この結果に不満を持った古賀氏が一時、「会長辞意」を漏らしたという情報が流れた。2月7日、尾辻氏ら残留する副会長3人は自民党本部で古賀氏に会い、「会長にとどまってほしい」と慰留。古賀氏も「じゃあ、しょうがないからやりましょう」と応じた。副会長人事では矛を収めた古賀氏だったが、辞意と慰留のてんまつが、逆に遺族会にはなくてはならない存在であることを印象づけた。
 古賀氏は13日、遺族会の慰霊巡拝で太平洋戦争の激戦地だった硫黄島を、現職会長として初めて訪問し、会内に存在感をアピール。記者団に「靖国問題で自分の信念は一貫している」と語った。【野口武則】