審議会指針「軍強制薄める狙い」/抗議声明相次ぐ【2007.12.11】(沖縄タイムス)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200712111300_06.html

 文部科学省が高校の日本史教科書から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除させた問題で、文科省が訂正申請をした教科書会社に示した教科用図書検定調査審議会の指針の内容に対して、十日、県内の市民団体から相次いで抗議声明が出された。

 抗議声明は「あらゆる基地の建設・強化に反対するネットワーク」(反基地ネット)と「おきなわ教育支援ネットワーク」(教育支援ネット)が単独で、「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」(平和教育をすすめる会)と「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない!県民大会」実行委員会が共同でそれぞれ発表した。

 いずれも「『軍の強制』をあいまいにするものだ」、「『集団自決』体験者の証言や、県民大会で示された県民の意志を無視したものだ」などと指針を厳しく批判し、文科省に記述回復と検定意見の撤回を求めている。

 沖縄戦体験者の佐久川政一・教育支援ネット共同代表は「県民は軍により死へと追いやられたというのが沖縄戦での実感だ。多くの体験者の証言が『集団自決』への軍命、強制を示している。それ以外の背景を詳述させるのは『軍の強制』を薄めるのが狙いだからだ」と話した。

 平和教育をすすめる会の高嶋伸欣共同代表は「指針では『過度に単純化した表現』などとあいまいな言葉で基準が示されており、文科省に対して立場の弱い教科書会社が過剰反応を起こす恐れもある」と指摘した。

 反基地ネットの當山全治共同代表が「九月の県民大会から時間がたつにつれ、検定意見撤回の動きが後退している」と危機感を募らせるなど、各団体とも今後の対応を急ぐ考えを示した。