「慰安婦強制の文書ない」 日本の国会議員ら米紙に広告

dotcom-sengo2007-06-16

http://www.asahi.com/politics/update/0615/TKY200706150143.html

従軍慰安婦問題をめぐり、日本の国会議員有志や言論人らが14日付の米紙ワシントン・ポストに「旧日本軍によって強制的に従軍慰安婦にされたことを示す文書は見つかっていない」と訴える全面広告を出した。……

同広告の主張のポイントは、
(1)旧日本軍の強制を示す文書がない
(2)強制しないよう民間業者に警告する文書が見つかっている
(3)インドネシアなどでの強制連行のケースは軍紀が崩れていたケースであり、責任者は厳しく処罰された、
(4)慰安婦は「性奴隷」でない、慰安婦公娼制度であり、当時の世界では普通のことである。
(5)「事実無根の中傷に謝罪すれば、人々に間違った印象を残し、日米の友好にも悪影響を与えかねない」
というものです。


この主張の中で第一点目の主張は、第三点目の主張がある限り矛盾すると思われます。また、第三点目のケースはスマラン事件を念頭に置いたものと思われますが、このスマラン事件での責任者処罰のケースがまれなものであり、中国での日本軍作戦地・占領地におけるケースではほとんど処罰されることはなかったようです。
(例えば山西省軍「慰安婦」裁判のケース)


第四点目の主張には、国家機関である軍が売春施設を所持した点、この売春施設において身体の自由を奪われ売春行為を強制するものであった点など、国際世論で問題とされている点を無視したものです。例えば、国連人権小委員会で賛同を得たマクドゥーガル報告では、奴隷制・奴隷売買を禁止している慣習法違反、戦争犯罪、人道に対する罪として指摘しており、ILO(世界労働機関)の専門家委員会では強制労働条約に違反していると指摘しています。


この記事よると、アメリカ下院での日本政府に対する謝罪要求決議案は、共同提案者が130人に上っているということです。今回の意見広告は、アメリカ世論にこの決議案が採択されないよう訴えたものと思われますが、その思いとは裏腹に、採択を早める結果となるのではないでしょうか?


なお、連合ニュースには、決議案の提案者であるマイク・ホンダ議員の代理人のコメントが掲載されていました。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2007/06/15/0900000000AJP20070615000600882.HTML

一連の主張に対し、ホンダ議員の代理人を務める弁護士は「広告の主張はこれまで数十年間にわたり繰り返されてきた正確でないもの」とし、これらの主張はすでに誤りであることがわかっており、説得力もなく論評の価値もないと切り捨てた。

▼賛同者 氏名・肩書き
島村宜伸(元農水相、衆・自民党)、平沼赳夫(元経済産業相、衆・無所属)、河村たかし(衆・民主党)、松原仁(衆・民主党)、岡崎久彦(元駐タイ大使)、桜井よしこ(ジャーナリスト)、屋山太郎(政治評論家)


▼関連記事
米紙に「慰安婦」反論の全面広告、賛同者に平沼元経産相ら(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070615-00000504-yom-int
日本の議員ら、慰安婦問題でワシントンポストに広告(YONHAP NEWS)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070615-00000014-yonh-kr
慰安婦強制性否定の全面広告=日本の議員・言論人有志−米紙(時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070615-00000032-jij-int