長野工高生徒が沖縄戦の学徒動員を考える展示づくり【2008.07.11】(信濃毎日新聞)

http://www.shinmai.co.jp/news/20080711/KT080709GBI090016000022.htm

 長野市差出南の長野工業高校2年生が、集めたペットボトルのキャップを使い、沖縄戦を考える展示を12、13日に一般公開する文化祭「長工祭」に出品する。10月に沖縄へ修学旅行する事前学習の一環。キャップはリサイクルし、海外の子どもたちのポリオワクチン接種に役立てる。命が粗末に扱われた戦争を教訓とし、現代でも危うい状況にある小さな命を救う活動につなげる。
 太平洋戦争末期の沖縄戦では、同県内から約2400人の学徒動員があったとされる。展示は、雑誌などから切り抜いた不特定の顔写真をキャップにはめ込み、学徒動員と同じ数で沖縄の島々を形づくる。270人余の2年生全員が1人9個ずつ写真入りキャップを作った。同世代の思いや立場を実感しようと、必ず1つは自分の顔写真にした。
 生徒たちは、学徒動員のほぼ半数が戦死したと教わり、同校と類似の県立工業学校の戦死率が90%と高いことも知った。修学旅行では、ひめゆり学徒隊に所属した女性の体験談を聞き、防空壕(ごう)に使った「ガマ」を見学する。
 中心になって取り組む修学旅行委員会の和田勇(ゆう)真(ま)君(16)は「戦争について考えながら準備を進めたい」。松本和子(わこ)さん(16)は「事前学習をよくして、沖縄で学びを深めたい」と話していた。
 キャップは展示で使った分も含め、リサイクル活動をする横浜市内のNPO法人に送る。校内外に呼び掛けており、文化祭当日やその後も集める。800個でポリオワクチン1人分になるという。
 活動を提案した修学旅行委員会担当の近藤正教諭(47)は「キャップが集まるか心配する声もあったが、多くの生徒が協力してくれた。展示では若者たちが犠牲になった戦争の悲惨さを実感してほしい」と話していた。