強制連行の中国人を墨絵で表現 龍谷大で展覧会【2008.05.20】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080520-00000042-kyt-l26

 戦時中に北海道に強制連行され、重労働に従事させられた中国人の姿を描く札幌市在住の画家志村墨然人(ぼくねんじん)さん(85)の墨絵展「墨描(すみがき)・中国人強制連行の図」が21日、京都市伏見区龍谷深草学舎学友会館で始まる。中国人収容所の管理人だった志村さんの描く惨状が風化しつつある戦争の歴史を伝えている。
 日中問題に取り組む団体や個人でつくる実行委員会が開く。志村さんは1945年に北海道・積丹半島西南部の発足村(現共和町)の鉱山に鹿島組(現鹿島建設)の事務員として勤務し、劣悪な状況下の約200人の中国人を見た。体験を語ることはなかったが、現場が原子力発電所の候補地に選ばれるなどして「歴史が跡形もなくなるのではないか」という思いにかられ、十数年前から墨絵を描き始めた。
 会場には縦1・7メートル、横3・6メートルの大作など18枚が展示される。こん棒を持った見張り番の監視下で、4、50キロの土砂や岩石を2人で担がされる労働や塩味だけがついた吸い物の食事、逃亡を図って連れ戻され拷問を受ける様子などが、墨の濃淡で細かに描かれている。
 志村さんは「絶対に忘れることのできない記憶だ。2度と戦争は起こしてほしくない」と話す。
 24日まで。入場は無料。問い合わせは龍谷田中宏研究室Tel:075(645)8561。