<沖縄密約国賠訴訟>西山氏「吉野氏は密約認めているのに」【2008.02.21】(毎日新聞)

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 沖縄返還日米交渉密約報道を巡り、国に賠償などを求めていた西山太吉さんは20日、東京高裁での敗訴を受けて記者会見した。判決が棄却理由に除斥期間を挙げたことについて「違法な秘密を守るために(刑事裁判で)吉野文六・元外務省アメリカ局長らが偽証し、国家を挙げて主権者をだました。密約問題は、単に文書が外部に出ただけの問題ではない。除斥期間の適用除外とすべきだ」と批判した。
 判決が密約の有無について判断しなかった点について「政府が密約はなかったとするのは、吉野氏の当初の証言だけの薄っぺらな根拠だ。今では吉野氏は密約の存在を認めている。こんなことが堂々とまかり通っていいのか」と怒りをあらわにした。
 代理人の藤森克美弁護士は「密約の有無は、控訴理由で最も力点を置いた点で、全く触れていないこと自体が上告理由になる」と話した。【臺宏士】
 ◇密約は、今では周知の事実
 ▽沖縄密約問題を追及したドキュメンタリー「メディアの敗北」(琉球朝日放送)を制作した映像ジャーナリスト、土江真樹子さんの話 学者の研究やメディアの取材によって密約の存在を裏付ける米公文書が見つかり、沖縄返還交渉に当たった吉野文六・元外務省アメリカ局長が密約を認める証言を始めた。密約があったということは、今では周知の事実だとさえ言える。真実をなお認めようとしない政府を、裁判所はいつまでかばい続けるつもりだろうか。沖縄返還協定に伴うこうした隠し事を35年以上たってもなお明らかにしないことが、日米地位協定や米軍基地など今日の沖縄が抱える問題の根本原因になっていると思う。
 ◇「判決は適切」と外務報道官
 児玉和夫外務報道官は20日、記者会見で判決について「政府の主張する妥当性を判示しており、適切だと考える。米側で公開された文書を日本政府として存在を認めないのかとの議論があるが、政府としてコメントする立場にない」と述べた。【中澤雄大
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