君が代不起立 再雇用拒否は違法 都に賠償命令 東京地裁【2008.02.08】(毎日新聞)

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 卒業式などの君が代斉唱時の不起立を理由に再雇用を拒否されたのは違憲・違法として、東京都立高の元教職員13人が都に計約7270万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁(中西茂裁判長)は7日、計約2760万円の支払いを命じた。判決は都教委の判断について「不起立を極端に過大視する一方で、他の事情を考慮した形跡がなく、合理性や社会的相当性を著しく欠く」と述べた。
 判決は、君が代斉唱時の起立を命じた校長の職務命令自体は、ピアノ伴奏命令を合憲とした最高裁判決(昨年2月)を踏襲し、違憲性を否定した。
 元教職員は03、04年度の卒業式などで起立せず、懲戒処分を受けた。05、06年の退職後に非常勤教職員として再雇用を希望したが、不合格になった。
 判決は「不起立が勤務成績を決定的に左右するものとは言えず、再雇用を否定すべき非違行為とするのは疑問」と述べ、1年分の賃金相当額(1人当たり約190万円)の賠償を命じた。
 職務命令については「原告の思想・良心の自由に抵触する余地はあるが、学習指導要領の趣旨にかなう」と判断。教職員に君が代の起立斉唱を義務付けた都教委通達(03年10月)も合理性や必要性があったと認めた。
 教職員の再雇用を巡っては、東京地裁の別の裁判長が昨年6月、不起立を理由に内定を取り消した都教委の判断は適法と判断している。【北村和巳】
 ▽原告・弁護団の話 職務命令の違憲主張を退けたのは不当だが、都教委の「日の丸・君が代」の強制に、司法が一定の歯止めをかけたと評価できる。
 ▽中村正彦・都教育長の話 主張が認められなかったのは大変遺憾。判決を詳細に確認し対応を検討したい。